『問題のない私たち』

来春(2月?)公開予定の映画『問題のない私たち』試写を見てきました。主演は黒川芽以。同級生役で準主演扱いなのが沢尻エリカ
*注:上記公式サイトは日本語ドメインでアクセスが面倒なのと、現段階では未オープン?
黒川芽以演じる笹岡澪を中心に、ある女子中学校でのいじめを描いた問題提起作、なのかな? 牛田麻希の原作(マーガレットコミックス)は話題になった作品だけに、その映画化は単館上映レベルながら注目を集めているよう。TVドラマ化の話が進んでいたものの、先に映画化されることになったとか。
詳しいストーリー解説は公式サイトのオープンを待つとして、基本的には視線の低い、15歳の女のコの視点で描かれた作風が新鮮でもあり、また甘くもあるといった感じ。大人の出てくる、大人の視線で描いたご都合主義的なガキ作品は好きじゃないので、個人的には好きな作風ですけどね。
ただ、かなり極端に“15歳の視線”で作られているだけに、周囲の大人の描写が甘くなってしまうのは致し方ないところ? 必要以上に登場してこないので気持ちはいいものの、それこそ子供側のご都合主義で動かされているようにも見えて、やや現実味に乏しいかも。まぁ、父親(勝村政信)、母親(大塚寧々)、教師(野波麻帆)のキャスティングを考えると、制作サイドだけの問題ではないと思われますが…(苦笑)。
反面、生徒側、同級生内の描写には研ぎ澄まされたリアルさを感じさせられ、ちょっと怖いほど。作りすぎていないリアルさだから、不気味ですらあって。等身大の女のコながら自然にリーダーシップを感じさせるキャラ・笹岡澪を、無理せず、どこか淡々と、屈折しながらも適度な前向きさで生き生きと…こーゆーキャラを演じると、ホントいいんですよね、黒川芽以。じわじわと光る感性とでも言うか…。前向きすぎないところがいーんです(と言うほうも屈折してる?)。最初は淡々と見ていたものが、いつの間にかスクリーンに引き込まれていってしまう。そーゆー意味では、賛否両論あった『天使みたい』での戸川はるか役に近いものがあるかも? 完璧、ハマリ役でしょう。
“自分が変わっていく”“変わるんじゃなく、そんな自分に気づかなかっただけ”。その繰り返しで成長していく姿って、彼女そのものでもあるのかもしれないような。そのへんは、監督が所属事務所社長(劇団ストレイドッグ主催)でもある森岡利行氏なので、彼女の“ぬるい”魅力を最大限に発揮させてるわけですね。おそらく、黒川芽以に関心がない“大人な”評論家から、積極的な意見が出てくる作品ではないでしょーが。
な、わけで。正直、あまり期待せずに見に行っただけに収穫は大(苦笑)。良かったです。別にオススメはしませんが。そーゆー言い方でいいんだと思います、この作品は。
なお、挿入歌は黒川芽以:自作詞・曲・歌の『アルイテイク…』(発売未定)。
2004年陽春、東京:ポレポレ東中野、名古屋:シネマ・スコ−レ、大阪:第七藝術劇場ほかで全国順次公開予定。第48回アジア太平洋映画祭、第13回あきた十文字映画祭出品作品。
 ←DVD  ←オリジナルサウンドトラック
2003.12.03追記

2003.12.02付けで公式サイトがオープン。ただしまだ暫定オープンなようで、BBSなどの一部コンテンツは工事中。