舞台『Kiss me you』@東京芸術劇場

舞台『Kiss me you』(作・演出/藤森一朗)のアンコール上演を見るため、東京芸術劇場へ。
前回の公演も見ているのでストーリーはわかっているものの、やはり終盤はうるるる(T_T) できればもう少し大規模な公演をさせてあげたい、名作でしょう。キャスティングが多少減った分、一部カットされた部分はあったものの、より感動の濃度が増したとも言えるかも。とりわけ、松下卓也の豪快さと繊細さを兼ね備えた演技は、悲しくもコミカルな武村軍曹のキャラを見事に表現し尽くしている。彼抜きにしてこのシリーズは語れないですねー。
主演の金田美香も成長ぶりがしっかりと感じられ、動きや立ち方に柔らかさが感じられて好印象。前回は初主演舞台ということもあり、勢いに任せたという感じの固さも目立ったので。このしっとり感は、人間的な成長でもあるのかしらん。
また、前回、年齢や経験からすると驚くほど落ち着いた存在感を見せてくれた福愛美も、安心して見ていられる演技ぶり。声の張りといい動きの大きさといい、舞台女優の資質という意味では彼女が一番かも? ただ、この日はちょっとノドの調子が悪いのか、セリフ回しにやや難があったよう。慣れた分、少し雑になったかな?
ガラス細工的な天才肌の演技を見せる井端珠里といい、この3人の対比バランスも素晴らしい。ツボにハマッたキャスティングでしょう。
モマグループ第4回公演となった今回。過去の4公演とも見てきたけれど。。。『プリプリプリー』は『シンデレラ』『白雪姫』『不思議の国アリス』などメルヘン童話のパロディを詰め込んだコメディタッチがややドタバタ劇っぽい? 感じ。新撰組をモチーフにした『Revolution』は出演者が多すぎて全体が散漫な印象。それだけに、やはりこの『Kiss me you』の出来が秀逸なんですねー。特攻隊をモチーフにした感動劇、と言ってしまえばそれまでだけど、安っぽい感動をむやみに押しつけない、ストレートなテンポの良さが作品の命だとも言えます。いずれにしても、アイドル系の女のコを大胆に抜擢し、笑いと感動を若さと躍動感で見せる公演作風は、アイドル系ニュージャンルとしても今後が楽しみなところ。
なお、金田美香福愛美松下卓也らをメインにしたシリーズはいちおう今回で完結。第5回公演『LOVE GUN』(9月19日〜26日/品川・六行会ホール)からは、キャスティングが一新されるらしい。
*過去の公演

第1回 『Kiss me you』 02年9月25日〜29日/品川・六行会ホール
第2回 『プリプリプリー』 02年12月22日〜24日/銀座ガスホール
第3回 『Revolution』 03年3月5日〜9日/池袋・東京芸術劇場
Kiss me you』 アンコール上演 03年6月12日〜17日/池袋・東京芸術劇場